お子様の壁を破るのに役立つ、海外アカデミーで聞いた、日本人ジュニアテニス選手の評価からわかる課題


(元ダブルス世界1位カサルコーチ)

バルセロナ遠征で滞在したサンチェス・カサルテニスアカデミーでは、世界トップ選手の指導経験があるベテランコーチから、アメリカの大学を卒業したての若いコーチまで、たくさんのコーチに指導していただきました。コーチの国籍も、スペインだけでなく、ヨーロッパ、南米など多岐に渡ります。それらのコーチに日本人選手について良いところ、改善した方が良いところを聞いてきました。

アンヘルコーチによる日本人ジュニアの評価の過去記事

テニスが正確で安定している

練習中、試合中の日本ジュニアの特徴の中で、とにかく多かった評価が『正確』であるということ。それでも、日本の練習環境では、
・ミスを減らす
・狙ったコースに打つ

ということを求められていると思います。私も今回帯同したジュニアを見ていて、ミスが少ないとか狙ったコースに打てているという、『正確さ』をそれほど強くは感じませんでした。前述したように、今回のアカデミーで働くコーチ達は、スペイン以外のコーチもたくさんいます。『正確さ』というのは、日本人の国民性が反映されていると思います。海外では褒められているのに、私はまだまだだと感じるくらいですから。

とても集中してテニスに取り組む

練習態度も高評価されます。
・とても集中している
・最後まで真剣に取り組む

という評価です。この評価に対しても、私は、もっともっとを求めます。
・課題に対して意識を持ち続けているか?
・怖がらずにチャレンジしているか?

など、ジュニア選手の練習の様子を見ながら感じたことを、朝のミーティングで個別に伝えるほどです。

スイングの加速が足りない、身体が開く

全てのコーチに共通して言われました。
・スイングの加速が足りない
・その原因は身体の開きにある
ヨーロッパの選手は、スイングスピードが速いと感じます。インパク付近の加速が効いています。先天的な肉体の強さに起因されていると思います。ですが、身体が開くタイミングの指摘に関しては、正しいと感じました。身体的に力で劣る日本人は、開きのタイミングを繊細にコントロールして、
身体を回すことと、身体が開くことの違い
を追求し続ける必要があると感じます。

表現力が足りない

日本人はシャイでおとなしいと言われます。それがテニスにどう影響するのか?と言われると、賛否両論あると思いますが、伸び伸びと表現力あふれる選手の方が、やはり魅力的に見えるでしょう。

比較してわかること

正確さ⇄スイングスピード
練習態度⇄表現力

という図式で、良いところと物足りないところは表裏一体です。

正確さ⇄スイングスピード
スイングスピードを抑えるとコントロール力は高まります。身体の開きをタイミングよくコントロールし、スイングスピードを高めてコントロールできるようにチャレンジする必要があります。ボールを潰してキャッチできる感覚が高まれば、そのぶん、真のコントロール力は高まります。
練習態度⇄表現力
本当は、集中できていない状況でも、日本人はそれほど露骨に態度に出しません。それは日本の教育が影響していますし、それほど悪いことであるとは思いません。ですが、より高い集中状態を目指すためにも、『意識すること』の大切さを追求する必要があると思います。

海外の選手と比較することで、日々取り組む課題に、より深い目的意識を付け加えることができます。世界中、ジュニア選手は、低年齢からコートに立って頑張っています。勝つためには、立ち続けるしかないです。

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